SONY ICF-801は、今でも人気があるラジオです。オークションサイトに出品されて、美品になると販売されていた時より高価で落札されています。

 なぜICF-801が人気があるのか。その理由は、音が良いからです。特にAM放送の音の良さには定評があります。NHKの「ラジオ深夜便」をゆったり聞くにはもってこいのラジオです。この音の良さは、キャビネットの大きさとスピーカーのサイズ、後面にある多数の小さな穴によるものです。ソニーならではの音響設計の良さでしょう。

 ICF-801には、前期型と後期型があると言われています。詳しく見ると、前期型の基盤を見ると8ピンのオーディオアンプICがありますが、後期型にはオーディオアンプICがなくジャンパー線になっています。ICが省略されてコストダウンだと言われます。しかし、それは間違いです。確かに基盤の部品面のオーディオアンプICは無くなっていますが、基盤の裏面(半田面)には小さな8ピンのICチップがついていますし、抵抗やコンデンサも位置が変わって前期型と同様に付いています。つまり前期型と後期型は、プリント基板もオーディオICも別物に変わっています。

 前期型と後期型の音の違いが言われます。前期型が高音がよく出るが、混信に弱い。後期型は、混信に強いが高音が出ない。前期型と後期型を聞き比べると確かに違います。音作りというか設計変更がなされています。音の違いは、好みが分かれるかもしれませんが、ラジオ深夜便をゆったり聞くには、後期型の落ち着いた音が良いかもしれません。

 前期型と後期型の違いは、外見では分かりません。電池ふたを取るとシリアル番号が見えます。私の持っているシリアル番号229***だと後期型です。シリアル番号が220000前後で前期型と後期型が切り替わっているのかもしれません。

 次に、ICF-801によくある故障があります。一つは、チューニングダイヤルを動かすと、バリバリ雑音が出る、ひどいものは、チューニングダイヤルが途中で止まって動かなくなる、というものです。特に前期型に多く見られるようです。私の持っている前期型もチューニング時にバリバリ雑音が入って、選局すると雑音は止まりました。

 この雑音の原因は、ポリバリコンの品質が悪いと言われますが、本当の原因は違います。ポリバリコンの半田付けが完成した基盤とチューニングメカ(ダイヤルや歯車)を組み立てる時に遊びが無く(きっちりしすぎる)歯車から常にポリバリコンに力がかかっている状態になっています。これは設計と現物の違いというか、遊びが無い状態で無理に組み立てられているからです。

 対策としては、一度ポリバリコンを基板から取り外して、半田付けをし直すと嘘のように直ります。ほんの少し取付位置が変わることにより、ポリバリコンとチューニングメカに遊び(余裕)が生じて力がかからなくなるものと思われます。ただし、ひどいものは、ポリバリコンのフィルムが破損して使えなくなっているものもあり、その場合は、ポリバリコンを交換しないと直りません。

 ちなみにポリバリコンは、ミツミ製でAMのアンテナ側165p+12p、OSC側95p+12p、FMのアンテナ側50p+12p、OSC側50p+12pです。型番等は不明ですが、形状が特殊なのでICF-801専用のものかもしれません。

 もう一つのよくある故障が、ボリュームを動かすと雑音がしたり、音が出なくなる。というものです。これは、ボリュームの接触不良によるものです。ICF-801は電源スイッチが単独であるので、ボリュームを動かす頻度は少ないですから、ボリュームは小さく、耐久性の弱いものが使われています。

 ちなみにボリュームは、アルプス(アルパイン)製の型番がRK09K1110B1Rで50kΩAカーブのものが使われています。このボリュームは、今でもネットで購入できるようです。
 私は、全く音が出ないジャンクのICF-801を手に入れて、ボリュームを分解して接触不良を直し、元に戻して(ちょっとコツが必要)使えるようにしました。

 最近、民放のAM局がワイドFM(FM補完放送)に切り替わっています。近い将来AM放送はNHKだけになるかもしれません。災害時等に遠距離へ電波を飛ばすにはAM放送が必要ですが、放送設備(特にAM送信アンテナ)の維持が負担になっているようです。元ラジオ少年にとって寂しい限りですが、ラジオ深夜便が末永くAMで放送されて、ICF-801で聞けることを願っています。